自由な空から
「ばっかやろーっ!」
私が見ていなかった方向から
ハトのおじさんが怒る。
私が見ていた方向は
二階建てのハトのおじさん家。
屋上にハト小屋があり
今朝は二階の窓にハトがぶつかる。
私と犬が散歩しながら
進んできた方向の空をおじさんは指す。
「ハヤブサだ」
空の黒い点は近づいて来て
追われるハトと
追うハヤブサだと分かる。
一対一の命がけのスピードは
見ていて怖い。
いつもはハトの群れが
きれいな隊列を組んで
心地よい羽ばたきの音を立て
飛んでいるのに。
空は青い。
その青に、厳しい自然が含まれて
今日の空の青がいつもと違う。
ハトは大丈夫かな。
ハヤブサは食事は取れたかな。
ハトのおじさんは
ハヤブサ問題はどうするかな。
犬と散歩のたびに考えている。